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2005年8月 7日 (日)

七夕祭り *「た」*

夏休み。
7月の終わりごろになると、商店街では七夕の飾りつけが始まります。
それほど広くない道の両側の店はそれぞれ工夫をこらした七夕飾りを用意する。
大きな竹飾り。
酒屋さんは、ウイスキーの瓶をかたどったものを下げたり。
信用金庫も、ちゃんと立派ななんとなく硬めのきちんとした感じのするものを出す。
まっすぐな商店街は色とりどりの吹流しや提灯が揺れて見通せなくなる。

準備が始まると、毎日のようにどこの店がどんな飾りをするのか見て周り、そっと触ってみたり吹流しに顔をうずめてみたりもして歩くのが楽しみになるのでした。

わたしの七夕は8月の6日と7日でした。
埼玉県の上福岡市。
当時は入間郡上福岡町の中央通り商店街では、毎年七夕のお祭りが行われ、露天もたくさん並ぶ。
歩行者天国になる。
夜は、ゆかたを着た人たちが町中から集まってにぎわいました。
竹飾りコンクールもあった。
金賞、銀賞、晴れ晴れしいの。
予想通りだったり、はずれたり。

わたしはお祭り当日よりも、その準備期間が好きでした。
毎日、少しずつ忙しげに活気が出てくる商店街。
暑い中、タオルを巻いたおじさんたちがひらひらの吹流しを増やしていく。
夕方、水を打った通りは涼しくて。
はしごをかけて上っていき、針金でくくりつける様子。
バランスを見て、位置を変えてみる。
小学生の低学年だったわたしは、少し離れたところで邪魔にならないように見る。
綿の簡単なワンピースにゴムぞうり。
髪をおさげにして結んでもらっていたのが、遊んでいるうちにほつれてくる。

朝顔が咲いて、ひまわりが咲いて、セミ捕りをして、クワガタを探す。
すいかを食べて、カキ氷を食べて、夕立にあって、足が泥だらけ。

8月8日の朝のラジオ体操のあと。
通りに出ていくと、半分くらいバラバラに片付けられた竹飾りと散らかった道路。
店の裏に回ると、重ねられた吹流し、無造作に倒された竹。ゴミの山。
少しだけ歩いて見て。
それから。
おもむろに家に走って戻るのです。
お祭りは必ず終り、夏休みもあと半分。

昔々のお話。
今でも続いているのかな。

50音企画

2005年7月 8日 (金)

そうめん  *「そ」*


「お昼はそうめんでいい?」

子どもの時分はまだエアコンのある家はほとんどなくて、涼をとるのは扇風機。
真夏も今ほど暑くはなかった。
朝は6時半からラジオ体操で、朝露にゴム草履の足を塗らして帰ったものです。
午前中は勉強しなさいと言われながら、アニメの再放送を見たり。
だんだん暑くなってきて「2時までは、外に出ちゃだめよ。」と昼寝をするように言われる。
それでも、帽子をかぶって外に遊びに出かけたりして。

急に空が曇ったかと思うと雷が鳴って夕立。
地面を叩く雨粒が跳ね上がって、足は泥だらけになる。
洗いこまれた綿のノースリーブのワンピースはびしょぬれで。
外にいるときの、近づいてくる雷は怖かった。

夕立が行ってしまうと、空が明るく、風が涼しく、ホコリが落ちつく匂いも消えて。
過ごしやすい夜がくる。

素麺よりは、冷麦が好きでした。
太い腰のある麺の方が美味しいと感じた。
だから「冷麦にしてね。」と言ってみる。
冷麦に入っている、ピンクや黄、ブルーの色のついた麺が嬉しかった。

今は、素麺の方がいい。
どうしてだろうな。
あの細い麺ののどごしがいい。
薬味に、ねぎ、大葉、みょうが、しょうが、わさびに、九州のゆずこしょう。
錦糸卵にきゅうりにトマトも切って。
あ、ゴマも入れると美味しいよ。
つるつるっと。

八百屋さんからすいかが丸ごと配達されて、お風呂場の浴槽にプカプカと浮いていたものです。

本格的な夏はこれから。
そして。
たぶん、短いの。

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2005年6月14日 (火)

銭湯に通う *「せ」*

A28lfcdo 京都の大学に入学しました。
博多から京都へ。
下宿があったのは右京区の帷子ノ辻というところ。
そこは、大映や松竹の撮影所の街です。
引っ越してから知った。
時代劇の衣装のまま歩いている人を見かける。

下宿から通いやすい銭湯はふたつ。
自転車のカゴに洗面器やタオル、シャンプー、石鹸を入れてこいでゆきます。
嵯峨野方面にひとつ。
太秦方面にひとつ。
広い太秦方面の銭湯にいくことのほうが多くなる。
なんとなく、賑やかだったから。

利用しているのは、若い学生よりもむしろ大人の女の人のほうが多かったような気がする。
いつもお客さんはいっぱいで、カランの空きを見つけるとさっと取らなくちゃ。
小さなサウナもついていて、たまにはそこにも入ってみた。
サウナなんて初めてで、見よう見まねで、知ってる風を装ったり。

夏は、汗が引くのを待って、外に出るなり新たな汗が噴き出した。
自分の部屋にエアコンなんてなかったから、扇風機めざして自転車をこぐ。
冬の京都は底冷えした。
髪を洗ってよく乾かさずに外に出るとウエーブのまま凍ってしまった。
それでも笑って平気でいられたのは若かったんだろうな。
撮影所の明かりが夜中まで点いていることがあった。
玄人風の女の人は女優さんだったのかもしれない。

その銭湯でときどき会うさりげない痩せたひと。
右側の乳房の摘出をしていた。
あまりにさりげなくて、ふつうに入浴しているので何回か会うまで気がつかなかった。

乳がんの手術後、うつ病を患った叔母を思い出した。
叔母は決して大浴場へ皆と一緒に入ることはしなかった。
それはとても理解できるのだ。

けれど、その人に会ってから。
名前も何も知らない人に会ってから。
ただすれ違うだけの他者の意識に与える影響について考えるようになった。

20数年前、片方の乳房のない人と銭湯で一緒に湯につかったことがある。
強くなれたらいいな、さらりと。
たまに会うと嬉しかった。


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2005年5月12日 (木)

スチュワーデス  *「す」*

Dtgjfq5b 初めて飛行機の乗ったのは小学校3年生。
にこやかな笑顔でジュースとキャンディを持ってきてくれた女の人はきれいだった。
今は客室乗務員と呼ばれるスチュワーデスさん。
いつもあこがれの職業の中のひとつです。

高校3年生。
卒業後の進路を決めなくてはいけない。
わたしの通った高校は、特に進学校というわけではなく就職を選ぶ人もけっこういた。
地元では、高卒で採用するには評判の良い学校でもありました。
自立心旺盛のしっかりもの。
そんな校風。
わたしは、進学。私立文系、行きたい大学も決めていてそこにしぼって勉強していた。
あまり周囲の動きには関心がなかったこともあるけれど、みんながそれぞれ誰かに相談するより自分で決めていた。

就職先が決まる季節。
職員室にふたりの女生徒が呼ばれて、ざわついたことがありました。
航空会社に就職が決定したんだって。え?スチュワーデス?うん、そう、すごいねー!

廊下を歩くふたりを見ました。
ああ、さすがだ、それぞれ自分の適性をちゃんとわかってたんだなあ。
そう思った。
本当に美人。
ふたりとも知的で背も高いしスタイルばつぐん。
同じ学年で他に代わる人が思い浮かばないくらいにぴったり。

大人だなあと思った。
自分が働いているイメージなんて浮かべたこともなかった頃。
将来と適性を見据えていた上での選択をした同級生。

きれいで頭が良いだけでは勤まらない。
不規則で長時間重労働。
いろいろな言われ方もするけれど。
飛行機に乗るたびに、あのときの廊下を歩くふたりのキリリとした美しい顔を思い出すのです。

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2005年4月13日 (水)

白いチューリップ *「し」*

_gddlm2c わたしは死にません。
まだまだ、まだまだ、死なない。
遠い遠い先のこと。

そうなんだけど、お願いしたいことが前からあって、友人にはときどき言っていることがあります。
「わたしが死んだら、お葬式はいらないんだけど、棺の中に白いチューリップを入れてね。菊はいや。白いチューリップだよ。」

とにかく白以外の花は入れて欲しくなくて、菊はいやで、チューリップがいい。
しつこいけど、菊はいや。
夏や秋ならどーする?
探してください。
大好きな花に包まれてさようならしたいんです。
望みはそれだけ。どうかお願いいたします。

今の家の前に八尾市に住んでいました。
そこはテラスハウスで庭がありました。
福岡の高校時代からの友だちが、チューリップの球根を10コプレゼントしてくれた。
引越して初めての秋。
よく掘り返してみみずにも出会い肥料も混ぜ土をほこほこにして、そこに埋めました。
隣には、クロッカスに、ヒヤシンスも。

翌春、白いチューリップが見事に咲きました。
ご近所の方にも褒めていただいた。
柔らかな風に揺れて香りが漂い、蝶も近づいてくる。
毎日眺めて、花が終わったところで切る。
ちょっと早めに切る。
それからが大事。肥料をせっせとやる、やる、やる。
6月の晴れた日。
掘り起こすと、球根が育っている、増えている。
大きいの小さいの、二倍にはなっている。
新聞紙を広げ、それをよく乾かして、保存。秋にまた埋める。
小さいのも埋める。

翌春、白いチューリップは二倍になって花開く。
ご近所の方に「ほほ、今年もきれいですなあ。」と褒めていただいた。
同じように、6月に球根を掘る。秋に埋める。
これを繰り返し、繰り返し、白いチューリップは数えられないくらいに増えました。
ご近所の方々は、楽しみにされ、少し遠くからも見にこられて褒めていかれた。

その家は、公団住宅で、建て替えの対象になり、立ち退きをよぎなくされました。
古い団地は一掃されてしまい、小さな共同体は解散。
それぞれに大事にされてい小さな庭も、団地中に植えられていた桜の木も、あっさりと更地にされ高層マンションになってしまいました。

花開く季節になると育てた白いチューリップの揃って揺れる中に佇むわたしと、見に来てくれていた近所の方の笑顔が浮かぶのです。

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2005年4月 8日 (金)

さるまた *「さ」*

父はブリーフをはきませんでした。
白いサルマタ。
昔ながらのしゃりしゃりっとしたパンツ。
ふんどしもしなかったな。
サルマタ、のみ。
ブリーフよりはいい、と思ってました。
だって、お風呂上りにパンツいっちょでうろうろする父親のブリーフ姿は…カンベンください。
ブリーフだってね、カルバンクラインのとかおしゃれなのならいいんです。
グンゼの白、みたいなのがいやなの。
ブリーフなのに、ぴたっとしてない、みたいな。
お子さま?みたいな。

夫おっちゃんは、違います。
当たり前です。
いやいや。

その夫おっちゃんが若い頃。
突然着替えを取りに帰る時間もなく出張に行かねばならなかったことがあり、さあ、いつ帰ってこられるのかわからない、ということがありました。
しょうがないなあ。
と留守番。
1週間して帰宅。
よろよろでふらふらで怒って帰ってきました。
どうしたのかなあ。

夫おっちゃん、よれてしわになった服を着替える。
すると、バシっ!っとゴミ箱に何か投げ込む音がする。
いきなりどーしたの?と覗き込むと、そこには白いサルマタが、悲しげにたたずむ。
あ、サルマタ…

「着替えを持たへんかったやんか。向こうでな、時間がないから、買いに行ってもろたんや。そしたら、これしかない言うねん。しゃあないから、我慢した。二度とはかへん!」

そのまだぬくいサルマタを救い出すことは禁止されました。
おっちゃんは、まさか人生でサルマタを身につけてしまう日があるとは思ってもなかったらしい。
田舎だからなあ、しょうがないよー。
憎憎しげにゴミ箱に視線をやるおっちゃん。

よれてるけど真白いサルマタよ、さようなら。
救ってあげられなくて、ごめんね。

わたしは、あとちょっとのところで、おっちゃんのサルマタ姿を見損ねたのでした。
残念、かも。

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2005年3月29日 (火)

声 *「こ」*

自分の声が好きじゃない。
どうにもしっくりこなくって心地悪いのです。

子どもの頃、朗読するのが大好きでした。
国語の時間に、新しい課題に移って、先生が誰か読んでくださいって言うと「はい」と手をあげて読みたいくらい好きだった。
でね、上手だったの。
その頃、自分の声がどんな風かなんて考えていなかった。

小学校の5年生のときです。
わたしの幼小中高大学の学校生活の中で、いちばんさりげなく何気なくごく普通に過ごせた半年間です。
元気だったの、とても元気だった。
5年生になるときクラス替えがあって、転校生でもなくなった。
クラスの普通の一員。
からだの調子もとてもよかった。
遠足も、林間学校も、クラス委員もやって楽しかった。

学校で朗読大会が開かれることになりました。
クラスでひとりの代表を選んで、体育館で発表会。出たいなあって思った。
「さあ、誰に出てもらいましょうか。推薦してください。」と先生。
もう一人上手な男の子とわたし、ふたりが残り、同じものを朗読して多数決。
選んでもらいました。
ドキドキして嬉しくて、その男の子も「頑張れ!」って言ってくれた。
幸せだった。
5分間の朗読、放課後、先生とマンツーマンで練習した。
家に帰っても練習した。
そりゃあもう選んでもらった嬉しさもあって頑張って練習した。
たぶん、自分以外の人のためにも頑張りたいと心から思ったのはこのときが初めてで最後かもしれない。

本番。
せいいっぱいできました。
満足だ、5年生は3クラス、3人の中でもよかったって思った。
その後、学年代表を選んで、市の大会へ。
わたしは選ばれなかった。
どうしてだろう、納得できなかった。こういうとき、あまり我を張るほうではないのだけど、選んでくれたクラスメートに対してもこのままじゃいやだなと思った。

責任者の先生に評価について訊きに職員室へ行きました。
「ああ、君ね、カゼひいててしゃがれた声だったものね。よくなかったねえ。だからだよ。」

ひと言も返せずに家に帰りました。
わたしは、カゼなんかじゃなく、ベストコンディションで、選ばれた女の子はとてもかわいらしい声の子だったの。

それから、人前で話すのがとても嫌いになりました。
朗読もそれっきり、ずっと避けるようになりました。
今思えば、そんなこと気にすることじゃなかったのに。
かわいい声じゃなくても別によかったのに。
素敵に読めたら、楽しく読めたら、それでよかったのにね。

それでも、今でもなんだか自分の声はちっとも好きになれません。

でも。
病気がからまないすごく普通の思い出だから、ほろ苦さとともに甘さもこみ上げるんです。

50音企画

2005年3月25日 (金)

ケーキ *「け」*

Hgpgtnuf ケーキっていいよね。
言葉そのものが甘くてほんわか、とけていく優しい感じ。

小さかった頃、今みたいにいつでもどこでもケーキがあって。
いつでもどこでも食べることができたわけではなかった時代。
ケーキはとてもとても特別なものでした。

誕生日とクリスマス。
あとは、上等なお客さんがショートケーキをおみやげに訪ねてきてくれたときくらい。
この場合の「上等」とは、子どもにとって素敵なおみやげを持ってきてくれるかどうかが基準。
大人の関係はどうでもいいの。知ーらない。

秋から冬。
わたしたち姉妹にとってのケーキシーズンです。
9月10月11月が誕生月、12月はクリスマス。
デコレーションケーキを買ってもらう。
わたしは、チョコレートコーティングのケーキが好きだった。
バタークリームのケーキはあんまり美味しくなくって。
母がたいてい6等分にカットする。
いちばん大きな一切れをわたしにちょうだい。
「おめでとう」のメッセージチョコレートもわたしにちょうだい。
ウエハースの家もわたしが食べるの。

チーズケーキを初めて食べたときは感激。
チーズがケーキになるのね、って不思議な感じが初々しく。
今ほどなにもかもが豊富じゃない時代を知っているのがしあわせな感じ。

ケーキはいいよね。
辛い思い出も甘くする。

3回唱える。
ケーキ!ケーキ!ケーキ!

しんどいときに、つぶやいてみる。
ケーキ、ケーキ、ケーキ…。

買いに行こうよ。
ケーキケーキケーキ。

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2005年3月 6日 (日)

苦しい *「く」*

苦しくったってぇ〜
悲しくったってぇ〜
こぉとぉのなかではっ
へいきぃなぁのぉぉぉ〜

アタック�1のアニメがテレビで放送されたのが小学校2年か3年生の頃です。
バレーボールがしてみたくて、なんちゃってボールでやってみました。
皮の本物のボールじゃなくて、ぼよんとした軽いもの。

ラリーが続くはずもないんです。
玉拾いばっかりで、苦しい。

この主題歌、よく歌っていました。
苦しくったってぇ〜〜
この「苦しい」という言葉。
本当に意味を自分のものにして使ったのは大人になってからかもしれない。
苦しいに限らず、感情や自分のからだの状態を言葉にしてぴったり表現できるようになったのがとても遅いような気がする。
ちょっと、違うな。
といつも思ってた。

「わたし、苦しいの。」
と言ってみて、これが本当に苦しいというのかな、と思う。
違うんじゃないかなあ。
ただ、しんどいだけかも。ただ、疲れてるだけかも。寝たいだけかも。嫌いなだけかも。
言ってみてるだけかも。

しっくりこないから、言葉がふわふわと飛んでいくのが見える。
目の前で浮かんでる感じ。
恥ずかしいなあ。
なんだか、カッコ悪い。
恥ずかしいから、言いたくない。
言わないから下手なまま。

今はね、わかるよ。
「あ、こりゃ苦しいってば。」
「たまらん、苦しいぃ〜〜。」
「う、苦しいっ!」
言いすぎ。

別の意味でなかなか口にできなかったのが。
「嬉しい」。
これは、明らかに嬉しいのに、うまく発音できない。
声に出すのが恥ずかしかった。

今はね、言いたい、いつでも。
そして、言える、そう感じたら。
嬉しいも、楽しいも、幸せなのも。

「恥ずかしい。」
これが減ってきたのでしょうか。
くすん。
悲しい。
涙が出ちゃう。
だってオンナノコなんだもん♪

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2005年3月 4日 (金)

キス *「き」*

Aajan5zf 最近のドラマ。
キスシーンが美しくありません。
なんとなく、俳優さんたち「ここでキスね、はいはい。しょうがないよ、仕事だもん。」とさばさばしすぎてるのが伝わってくる。
しかも、ぶちゅー。
ない方がよかったんじゃないかなと思うこともしばしば。
「オレンジデイズ」の柴崎コウちゃんと妻夫木くんのもそうだったな。
いきなり、ぶちゅー。
あーあ。
色気もなにもないんだもん。
陰影が欲しいよね。
ドキっとしたい。

そういう当のわたし。
色気がありません、ええ、本当にありません。
過去一度も言われたことない「色っぽいよね」。
遠まわしにも、ウワサにも、聞こえてきたことがない。
たぶん、ないんだ。
なんって色っぽいことと無縁なんだ、残念だ、無念だ。

それがね。
ドキドキしたんです。
眠ろうとしていた。
目を閉じてうとうと。
そーっと気配が近づいてきました。
あれ。
じっとしていました。
くちびるに、触れるか触れないかで離れていく。
なかなか微妙な感触です。

そんなキスの主は、いちじくちゃん。

それから、いちじくはときどき、照明を落とした暗くした部屋で、もう眠ったかなというころに、こうして、そっとくちびるに触れていきます。
ヒゲがこそばゆいのを我慢します。

ああ、淋しいなあ。
と突っ込むのは禁止です。

50音企画

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